八月旧盆八月旧盆 中日の
炎暑にうだる 真夜中に
空から下る 軍靴の響き
重たく低く 君 聞こえるか
ズ―ン ・・・ ザッ
ズ―ン ・・・ ザッ
裂けた軍服 身にまとい
肩上に揺れる 白骨の顔
ゆらゆら揺らぐ 白首が
隊列整え 歩調をそろえ
日本の空を 横切って
向かうは黄泉か 地の果てか
ズ―ン ・・・ ザッ
ズ―ン ・・・ ザッ
虚空つんざく 突撃ラッパ
若い兵士の 心の叫び
月光とともに 降りきたる
お国のためだ 父母のため
恋人の身を 守るため
何がなんでも 敵に勝つ
異国の丘の草原に
機銃掃射が 浴びせられ
若い兵士は 砕け散り
思いのたけが 空に舞う
老いた兵士の おめき声
生きて虜囚の辱め
受けぬがために 突撃す
もし 我 死しても 国 勝てば
妻子の幸せ 国 守る
妻子の幸せ 国 守る
火炎放射を 浴びせられ
哀れ老兵 燃え尽きぬ
ズン ザッ ズン ザッ
ザッ ザッ ザッ ザッ
ズン ザッ ズン ザッ
ザッ ザッ ザッ ザッ
虚空縦横 駆け巡る
軍靴の響き 兵の声
黄泉から 天の果てまでも
時空の流れ 超越す
海陸空に 闘いて
水漬くかばね
草むすかばね
英霊の御霊 天にあり
ズン ザッ ズン ザッ
ザッ ザッ ザッ ザッ
ズン ザッ ズン ザッ
ザッ ザッ ザッ ザッ
若い兵士や 老兵が
ともに発する 凝念が
地上の炎暑に 降り下る
我らは 国のため 闘った
軍部命令と 人は言う
命令のみで 命 捨てるや
国や家庭を 守るため
闘いのさなか 国あげて
歓呼の声を おくりしが
国 敗れたる その日から
歓呼の声は 消えうせて
我らに 手向ける ものもない
手向けるものの ない 我ら
無縁仏と 成り果てて
たどりつき 安堵求める 場所もない
我らは 哀しき放浪者
我らが 罪を犯せしか
国 敗れたりと言われども
我らは 臆せず 闘った
我らは 何故に 罪びとか
国 敗れして 山河なく
人の心に 思いやり
絶えて久しく 時過ぎぬ
我らは 何故に 闘いし
我ら 罪びとと 言われども
闘う心 強い生きざま
奪いとったが 罪びとぞ
我らが 何故に 罪びとか
ズン ザッ ズン ザッ
ズン ザッ ズン ザッ
月 山の端に かかるころ
軍靴の響き 遠ざかる
ズーン ・・・ ザッ
ズーン ・・・ ザッ
ズーン ザッ ズーン ザッ
ズーン ザッ ズーン ザッ
ザッ ザッ
ザッ ザッ
ザッ
【読者の皆様へ】
昨年八月終戦記念日のころ暑さにうだりながら作りました。
時代が変われば考えも変わると言われますが、変えるのは人間なのではないでしょうか。
私は時代の責任にはしたくありません。 平成十五年九月二十五日記